兀狄山人漂泊録 GotutekiSanzin hyouhakuroku

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自転車旅 vs 山旅 【雑】

自転車旅 vs 山旅 【雑】

山旅と云うのは、パックパックだけで徒歩で山を越えて山の向こう側の別の街や集落へと次々旅することを意味する。

自転車で登山口まで行って、その場所に戻るのは山旅にではなく、あくまで自転車旅の付録だ。
山旅も途中長距離の移動に電車やバスを使うこともあるし、自転車旅も輪行はありえる。

ただし個人的ルールだが、緊急時以外はタクシー、レンタカーはNGだ。乗せてもらうのもダメ。
安易に金で解決したり、他人の好意に甘えるのは自分をスポイルするし、旅が美しくなくなる。
本来は完全に徒歩のみ、自転車のみが望ましいが、それはあまりに大変なので、仕方なく、一般の公共交通に普通に対価を払って乗ることだけは許可したと云う形だ。

 ・自転車のデメリット

自転車と徒歩は、かなり根本的に異質の行為だ。
徒歩でもバックパックだけでなく、カートとかリヤカーと云う人もいないではないが、これは自転車との中間的な存在なので今は考えない。
あくまで、身一つで高い山を越えて別の土地に降りることが前提だ。

自転車のデメリットは、
・自動車やバイクと同じく、徒歩オンリーの道は行けない。
空身でどこかへ行くならば、必ず駐車場所にもどらなくてはならない。
・身軽ではない。
機械的トラブルを解決しなくてはならない。
・交通事故の可能性が大きい。

メリットは
・行動範囲が大きい。ことに尽きる。
舗装路ならば徒歩25~35kmの3~5倍の70~150km

・車種にもよるが、荷物が多く積める。……
と云うこともあるが、自分の場合これはどちらにしても荷物は最小限まで削るので、自転車の方がむしろメンテナンス道具や予備部品、装着部品などでかなり荷が増えるのであまりメリットにはならない。

あくまでも、山でのウルトラライト、ミニマルワイルドの延長で旅を楽しむつもりだ。

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・山離れ

以上のメリット、デメリットではなく二つの旅の形の本質的な違いは、

🔴「山頂を意識しない」
と云う点にある。

今まで、興味はあってもなかなか踏み切れなかった自転車旅をやってみようかな、と思った理由は、
「山頂に興味がなくなってきた」からだ。

原因は勿論、昨今の山ブーム、
🔴「山はどこも人だらけ。」
だから。それ以外にない。

この世で一番嫌いなものは、人間の集団である。
そもそも、人がいないから山に登り始めたのだ。
人混みに会いに山に行くなど本末転倒だ。

かと云って、わざわざ登山に来て人が多いからと登らないのもバカらしいし、登って不愉快な思いをするのもイヤだ。
人のこないコースばかり研究してきたがそれでも、指定キャンプ地は超雑踏、山頂は足の踏み場もない、往復の電車はラッシュ並み……
もう、地味な里山や、季節外れ、ステルスキャンプ以外気持ちの安らぐ山旅は至難になってしまった。

・下界の歩き旅

ならば、四国遍路通し打ちの経験もあるので、徒歩での下界旅を旧街道中心に少しトライしてみた。
これも、勿論面白いのだが、野宿場所やトイレ、自炊場所など、特有の制約も多い。

ならば、いっそ自転車旅にしてしまえば、野宿自炊トイレ、水や食料補給などの場所に移動するのはわけないので、上記のデメリットを考慮に入れても 楽しめるのではないか?

さらに、歩き旅の場合は、予めテーマと行く場所をある程度は作っておく必要があるし、途中ルートの変更もなかなか難しいが、自転車ならばかなり適当でも自由でもなんとかなりそうだ。

歩きで10kmはうんざりする距離だが、自転車ならなんと云うことはない距離だ。
往復の5㎞のスーパーマーケットに寄り道することは、徒歩ではかなり迷うが、自転車なら迷う必要はない。
何より、アズマヤ探しが楽ならば野宿はかなり楽になる。

更に、自分には固有の自転車旅の精神的なアドバンテージもある。
……比較が山旅や徒歩旅なので、万一のマシントラブルでのリタイアや自転車店までの移動も、押して歩く、歩き旅だと思えば、普通の自転車乗りの人ほどの精神的ダメージはない。
万一のチェーン切れの心配をするより、最寄りの駅を探せばよい。
 
残る懸案事項は、体力的なものと、落車・自損事故を含む交通事故だけだ。

これは、山岳遭難よりはるかに確率的には大きい。
とにかく、無理せず気を付けるしかない。

山をやめるわけではないが、とりあえず自転車旅の経験を積んで、徐々にシフトしていこうかと考えている。

そのうち、この馬鹿馬鹿しい山ブームも去ってくれるかも知れない。
逃げ場所が山に無くなったのなら、下界を身軽に逃げ続けるしかない。
ま、それも悪くない。